コミュニティマーケティングについて知る

第1章ではコミュニティマーケティングの概要について、第2章では実際の成功事例について取り上げました。それでは、実際には拡大するコミュニティをどのように設計・運営していけばよいのでしょうか?本章では、コミュニティ設計の基本戦略や考え方について説明していきます。

3.1 3つのファースト

拡大するコミュニティの秘訣としてまず押さえておきたいのが、以下の「3つのファースト」です。
「オフラインファースト:オフラインから始まるコミュニティであること」
「アウトプットファースト:参加者が自らアウトプットできるコミュニティであること」
「コンテキストファースト:何のためのコミュニティであるのかという目的意識が共有されたコミュニティであること」
この三点が揃っていると、コミュニティとして成長しやすくなります。一つずつ詳しく見ていきましょう。

オフラインファースト

なんでもオンラインで完結できる時代ですが、コミュニティを始めるという点においてはオフライン起点であることがとても重要です。もちろんオンラインのコミュニティも存在します。とくにITリテラシーの高い人々だとFacebookグループやチャットツール等を使って情報交換ができる場所をすぐに作れれるでしょう。しかし、本当に始めの段階をオンラインで始めてしまうと会合の目的や、場のトーン&マナーを設定するのが難しくなります。コミュニティはいうまでもなく人と人の集まりですから、どんな人がいるのか、誰がどんなことをやっているのか、そして何よりお互いの「熱量」を知るうえで、最初の段階で顔が見えるのは大切です。
イベントの様子や、口コミなど「結果」がオンラインで拡散されるのは必須ですが、最初の起点はあくまでオフラインがよいでしょう。

アウトプットファースト

コミュニティの参加者にアウトプットしてもらうことは、「参加者自身にコミュニティの存在を自分ゴトに感じてもらう」「コミュニティの一歩外側にいる人々にリーチしやすいコンテンツを創出する」という二つの意味合いがあります。
自らアウトプットしてもらうことは「自分はこのコミュニティの一員だ!」と感じてもらうのに一番有効な方法といえます。イベントでの登壇、ブログの執筆、ツイッターでの情報発信など…参加者がアウトプットしていくと、不思議と「ここは自分の場所だ」と自分ゴトと感じられるようになります。
また、アウトプット = 可視化 といえます。コミュニティの活動がアウトプットされる、プロダクトの口コミがオンラインで発信される、そうすることでコミュニティ内外で情報交換が巻き起こるわけです。
コミュニティの参加者が「ただ人の話を聞いているだけだった」「懇親会でもあまり情報交換できなかった」というような人ばかりでは、それはコミュニティというより単発のイベント、セミナーに近いものになってしまうでしょう。
参加者がアウトプットできる工夫を
そのため出来るだけ参加者がアウトプットできる設計をしてあげるおくことが大切です。たとえば、当日のタイムテーブルにLT(ライトニングトーク:5分程度の短いプレゼンテーション)の時間を組み込み、事前に複数のユーザーに登壇をお願いしておく、Twitterのハッシュタグを用意して「ぜひ今日の様子をTwitterで呟いてみてください」と協力を請う等、参加者が傍観者にならない仕組みを提供できるように工夫をしましょう。

コンテキストファースト

コミュニティにはメンバー同士を結びつける一つのコンテキストが必要です。このコンテキストの共通認識がないまま始めてしまうと、最初は集客できたとしてもコミュニティとしての存続は難しくなります。共通の目的や課題意識を抽出し、その場で何を与え合うことができるのかが分かっていないと、オフラインのコミュニティはただの飲み会となってしまうでしょう。
実際、「何のための集まりなのか?」という点がおざなりのままコミュニティのキックオフがされてしまうことは少なくないですありません。とりあえずユーザーを集めて飲み会をやろう!懇親会をしよう!よし、人はいっぱいきた!飲み会も楽しかった!でも、単発のイベントで終わってしまった…。これではあまり意味がありません。コミュニティを作る前に必ず、「何のための集まりなのか?」「ユーザー同士が交換できる価値は何か?」という点について確認しておきましょう。

コミュニティの発足前だけでなく、毎回のイベントの冒頭でもコンテキストを確認
また、オフラインイベントの冒頭などで「今回のイベントは、こういう意図で行なっています」「このコミュニティはこういう人たちのためのコミュニティです」と主旨説明の時間を取ることも重要です。コミュニティが安定し、継続的に運営できるようになってくると、必ず固定のメンバーと新規のメンバーが出てきます。たとえ固定のメンバーにとってはもう分かっていることでも、新規のメンバーのために毎回主旨の説明はしておきましょう。なぜなら、コンテキストをわかっている固定メンバーとそうでない新規メンバーに分かれてしまうと、コミュニティの性質が徐々に新規のメンバーを受け付けない内輪的なものに変容してしまうからです。

まとめ

コミュニティの設計には以下の3点を抑えておくと良いでしょう。

  • オフラインファースト:オフラインから始まるコミュニティであること
  • アウトプットファースト:参加者が自らアウトプットできるコミュニティであること
  • コンテキストファースト:何のためのコミュニティであるのかという目的意識が共有されたコミュニティであること

次節では、コミュニティの拡大、情報の拡散をしていく上で重要なボーリングピン戦略についてお伝えしていきます。